川で奇跡は起きるのか、愛知県の川で石拾い |思い出その三十|

石拾いの旅|愛知県庄内川

2016年11月23日。

引き続き青森の石症候群に悩まされている。
どの海岸で石拾いをしても脳裏にちらつく錦石。
TADAに乱獲された福井、有名なだけに翡翠、瑪瑙のほぼ無い(主観)新潟、伊豆。デザイナーEに乱獲された御前崎。そもそも石の無い愛知、三重。
北の方にはまだまだあるのだろうが、だったら青森に行く。北海道は遠すぎる。
つまり気軽に行ける距離のいい石のある海岸が無い。

そこで、より良い石の海岸を探す旅は一旦諦め、自分の心を新鮮に持つことに重きを置こうと思った。
そもそも石拾いは内的要因、その人の心象風景によるところが多い。
石拾いの初心、心からの喜びを取り戻すため、全く経験のない人と石拾いをすることにした。

サラブレッドKの名古屋時代の後輩で、過酷な環境下でデザイン業に忙殺され、心身ともにやられた女性デザイナー・シベリアMという人物がいる。
彼女には石の話をサブリミナルに吹き込んであり、一度も石を拾っていないのに石の女へと変貌を遂げようとしていた。

今度の休日に石を拾いに行かないかと尋ねたら即答でOK。
さらにはシベリアMの先輩でサラブレッドKの後輩にあたる、女性デザイナーDEGUも誘って快諾してくれたというのだ。やるじゃないかシベリアM。

では早速石拾いと思ったのだが、一体どこに拾いに行けば良いのだろうか。愛知の海に石の拾える海岸は無い。
いきなり石拾いの為に遠出し、収穫ゼロになってしまっては、ただでさえ心に余裕の無いシベリアMは石トラウマになってしまうだろう。

不本意だが仕方が無い。こうなったら川だ。
石と海なのに、またまた川。今まで何度も川の石拾いも紹介している。
中津川(岐阜)、九頭竜川(福井)、白田川(静岡)、天竜川(静岡)。
今回は近場の川で石拾いに開眼させ、TADAのような立派な石の人になってもらおう。

さらに朗報がシベリアMからあった。どうやら先輩にもう一人、石の可能性を秘めた女性がいるという。その名はK・ストーン、、。名前に石が入っている。さらには、すでに半分石の人だといういうのだ、、!
しかし我々石の人が好んで拾うそこらへんの石ころではなく、鉱物だという。むむむ、、。これは手強い、、。TADAのようなとんでもないモンスターをまた生み出してしまうかもしれぬ、、。。
実に罪深い所行、こうして石の人を増殖させ日本各地の清い石ころたちは乱獲されていくのか、、。

と、思っていたのだが、都合が合わず今回は不参加。実に残念だ、、。

場所は名古屋に住んでいれば誰でも知っている庄内川。
庄内川のイメージはあまり良くなく、下流の方の水質は奇麗とは言えない。中流あたりまでいけばそこまで悪くは無いのだろうが、今回は近場で石拾いをしたいので、高蔵寺あたりで拾うことに。そもそも川のどの辺りを上流、中流、下流と呼ぶのかは定かではないが。

というわけで庄内川へ。現地集合。

シベリアMとDEGUは僕より先に合流。
庄内川へ着くと二人は日向ぼっこをしていた。

庄内川の水質は、やはり良くない。
下流よりは少しましではあるが。

さあ、石拾いを始めますか。

むむむ、、。やはり川、、ざらざらしてグレーっぽく、くすんだ色の石がごろごろ。

これは、、。まぎれもない駐車場だ。
初石拾いの二人の反応が心配だ、、。トラウマにならないといいが、、。

もう飽きたんかい!
石拾い開始5分で終了。

んん〜でも仕方ない。
だって駐車場みたいだから。

初石拾いの場所って、青森のような最高峰の石スポットでがっちり石に心を掴まれるのがいいのか、
何の変哲もない石ころがごろごろ転がるスポットで素朴な石拾いの魅力を徐々に見いだしていくのがいいのか、これは今後の石の人育成計画において重要な課題だ。

と思ったら真剣に石を探し始めた二人。
さすがデザイナー。石の素養がある。
まあ、無ければそもそも石拾いを快諾するわけないのだが。

客観的に見ると異様な光景だ。
思い詰めて川に来た女性が二人。
これを普段の自分とTADAに置き換える想像は恐ろしくてとてもできない。

シベリアMがしきりに僕に石を見せてくる。
これはどうですか?
なっとらん!!!
僕はポイと石を投げ捨てた。

これはどうですか?
ポイ。

これはどうですか?
これはどうですか?
ポイ。ポイ。

これはどうですか?
これはどうですか?
これはどうですか?
ポイ。ポイ。ポイ。ポイ。

これはどうですか
あああああああああああああ!
手当たり次第適当に拾うんじゃない!

もっと心に石世界を投影し対話をしろ!

自分でも何を言っているのか分からない!

僕も含め三人で拾った石たち。
シベリアM、本当はいい石もあったよ。

駐車場と思われた庄内川でも意外と楽しめた。
石拾い終了。
と思ったのだが、
これで終わりではなかった。
帰り道に、DEGUが寄りたい場所があるという。
それも、なんと水晶を採るというのだ。
なんでも先ほど紹介した鉱物好きのK・ストーンと一度採りに行ったことがあるらしい。
水晶というワードに目を輝かせるシベリアM。

そうかそうかそうですか。川に落ちている地味な石ころなんかより、キラキラ輝く水晶ですか。

そりゃそうだ。
少し電車に揺られて、水晶採掘場の、最寄りの駅へ。

駅から徒歩で移動。
なかなかの田舎感。道中いろいろな実のなる木が植えられていてテンションが上がる。
何度も言っているが、石好きは実が好き。

実。

実。

実。

実。
何の変哲も無い実。
もちろん大自然に逞しく育つ植物も好きだし、道端に健気に咲く花も好きだ。
しかしまた、住宅の庭に植えられた実のなる木には、鑑賞・観測する対象として楽しむ人間の心の純粋性を感じる。

実は、人間の力で、ある程度コントロールできる。

石は、人間の限られた時間の中では、コントロールできない。途方も無い年月を要する。

実の日記になりそうなので、ここら辺にしておく。

水晶の採れる場所に着いた。

奥へ進む。
僕は内心、本当に水晶が採れるのか?と半信半疑だ。

唐突に水晶を探し始めるシベリアM。狂気。
その意欲、庄内川の時にも出して欲しかった。

これかしら、、、?
心躍らせるシベリアM。
本当に水晶ですかねえ。

気がつけば一心不乱に水晶を探す女性が二人。
やっぱり光り物って心奪われるんだな。改めて石ころの力不足を痛感。

とても小さな水晶の欠片だが、確かに落ちている。
K・ストーンの情報は確かだったわけだ。

謎の木の棒を操り、軽快に水晶をゲットするシベリアM。
手のひらには細かい水晶が山積みだ。

既に鉱物好きの誰かによって拾われていたのか、大きいものはほとんどなかった。
無限にありそうな石ころでさえ、TADAによって簡単に乱獲されるのだから、
みなの心を奪う水晶は、すべて拾われなくなってしまっても全く不思議ではない。

二人が満足したので、帰ることにした、、。
今回の石拾いは成功と呼べるのだろうか。
否。水晶に負けた。やはり青森に石拾いに行き、錦石の衝撃を味わうのが一番なのか。

帰り道、DEGUが謎のふわふわを手に入れた。
何かの種だろうか。

キウイ。

日も暮れた。
これにて終了。

拾った石を幾つか紹介する。


川で拾った石|愛知県庄内川

まん丸な石。うっすらと浮かび上がる縞模様が美しい。

こちらもしましま。長い年月をかけ、一定の周期でこの模様が生まれる不思議。

拾った石のすべてはこんな感じ。庄内川にしてはいいのだろうか。
川の石ころの水準がいまいち分からない。
→いままでに拾ったいろいろな石

寄りのカット。うん、悪くはない。悪くはないが、そこまで良くもない。

次回、思い出その三十一は、またしても川。
東京都は多摩川でサラブレッドKが石ゾーンに入る。


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