三度目の石悪と、静岡県の海岸で石拾い |思い出その二十九|

石拾いの旅|静岡県御前崎海岸

2016年10月10日。

今日は僕の地元、三重県にいる。駅のロータリーで奴を待つ。
そう、奴がやってくる。

やさしいおじいさんに仕事のお礼にもらった水石(鑑賞石)を職場の駐車場に放置し、天竜川の石には目もくれず蹴り飛ばし、熊野の素晴らしい七里御浜の石もすべて投げ捨ててしまう。石悪の申し子マシュー。

何故かまた石拾いに付き合ってくれるというのだ。
何を目的に石拾いに行ってくれるのだろうか。恐らく、石拾い自体には全く興味がないのだが、石を拾うという謎の行動をとる僕に興味があるのだろう。そして海や山等の自然が好きなのだ。

地元から日帰りで行ける、程よい石の海岸を探していた。福井は散々行っているし、熊野の七里御浜にも行っている。愛知に石の海岸は未だ見つけられていない。静岡はJR沿線の海岸で結構拾っていて、伊豆は特によく行っている。ほぼ開拓済なのだ。
しかし、今回はマシューの車がある。すると静岡で一カ所思い当たる海岸がある。
弊社デザイナーEの地元、御前崎。そもそも僕が石拾いをするきっかけになったのが、Eが会社に持って来た御前崎海岸の石だ。この石拾い日記の原点でもある。Eの選び抜かれた石は本当に素晴らしいのだが、その石達をひろった海岸こそが、御前崎海岸だ。
TADAが地元福井の海岸で重点的に拾っているのと同じく、Eは所持するほぼ全ての石を御前崎海岸で拾っている。この日記でTADAやK、384、マシューを取り上げてきたが、Eが最も早く石の審美眼を手に入れているのだ。

Eの持っているような素晴らしい石たちが拾えるのであれば、御前崎海岸は相当期待が高まる。

マシューよ、期待して良いぞ。今までの石拾いの印象といえば、天竜川の石はザラザラ、七里御浜の石は同じようなものばかり、といったところだろう。
しかし今回は違う。Eが拾ってくる御前崎の石はどれも高密度で触り心地はすべすべ、同じ海岸とは思えない多種多様な石達。色彩や模様こそ青森の石には及ばないが、また違った渋さと深みがある質の高い石の拾える数少ない海岸だと言える。

さて、そろそろ出発だが、地元から御前崎はそこそこの距離。時間にして2時間~3時間程度だろうか。
と思っていたのだが、マシューと車中、小学校の思い出話をしていると時間はあっという間に過ぎる。

御前崎の堤防。

ちょっとリゾートっぽい雰囲気。道の駅っぽい場所で、適当に昼ご飯を食べる。

どこか寂しい雰囲気だ。やはり石拾いのできる町はこうなのだ。

ずんずん海岸へ向かう。

岬にある灯台。この下の海岸に、石拾いスポットがあるとEがいっていた気がする。

ずんずんずん。

海岸へはもうすぐ。石は、、あるのか?

この怪しい道は何だ。

実。石ころ好きは実も好き。

怪しい道を抜けると、お土産屋らしき建物が。

沢山の貝殻。何か切ない気分になるのは僕だけだろうか。
海岸へ降りる。

海。水質はあまり良くない。福井の海などと比べると、随分濁っている。磯臭さも結構する。
石、石、石はどうか、、。

あった。
砂利浜に点々と落ちている石ころたち。
テンションがあがる石の光景第二位。
第一位は、砂浜に石ころ。一面広がる砂浜の上に拾ってくれと言わんばかりに落ちている石ころたちは何とも言えない魅力にあふれている。

砂利浜となると、少しぼける。なぜなら砂利とは石が細かく砕かれたものだからだ。砂もそうなのだが、もはや砂は石とは一線を画す存在なのだ。

そんな細かい話はさておき、落ちている石の面々はどんなものか、、。

ふむふむなるほど、、。

普通だ。至って普通の石だ。しかも濡れている状態でこれだ。
大丈夫か?御前崎海岸。

コロコロ、コロコロコロー。

Eの石も、地味なものが多かった。その中でじっくりじっくり時間をかけて石と向き合っているとだんだん味わい深くなってきて、なんというか侘び寂びというか、趣を感じる。
一般の人にこの石いいでしょなんて見せると、え、ただの石ころやん、、、。
と言われること必須の御前崎の石たち。

ということは、、。
恐る恐るマシューの方を見てみると、、。

不安は的中、この世に存在しているのかすら危うい、抜け殻状態。
石には目もくれず、海の果てをボーっと見ている。それはそれで海を楽しんでいるのか。

コロコロー。

突然謎の石が現れた。なんだ。何だこの石は?
穴ぼこだらけではないか。しかもその穴に小さな石ころが入ってしまっておる。
後ほどツイッターでつぶやいたら、石の人からなんとか虫の仕業だと指摘されたのだがもはや記憶が無い。どうやら風化ではなく生き物の仕業らしいのだ。

そして周りに落ちている石たちにも注目してほしい。

地味。徹底的に地味なのだ。
ただ、この中にEの持つあの渋い石が落ちていると考えると希望は消えない。
僕は集中して拾い続けた。
マシューはスマホをいじっている。

どんなに地味な石の海岸でも、海の音、潮の香り、空、雲、植物に囲まれてする石拾いはいいものだ。

とくに気の利いた写真もないのでこれにて石拾い終了。

拾った石はこんな感じ。
ちなみに中央上部の茶色い物体は石ではない。そんなことは一瞬で分かったのだが、なんとなくキープしてしまった。もちろん持ち帰ってはいない。たしか。
なかなか渋い石が拾えたと思う。

しかし、不思議なことにEが持っているコレクションの石たちとは少し違う気がする。
というかそこまでいい石が無い。
これは僕の石拾いの実力が足らないのか、それとも探す時間が足らないのか分からないが、圧倒的にEの石のほうがいい。

そもそも本日見られなかった種類の石がEのコレクションの中には存在する。
なぜだ。なぜなのだ。拾った場所は灯台の下と聞いているので全く同じなはずだ。
渡辺一夫先生著の日本の石ころ標本箱によると、御前崎岬は日本のほぼすべての種類の石が落ちているとされる、天竜川から流れてくる石の終着点なのだが、唯一無二の模様や質の石が落ちているのだろうか。
いやそんなはずは無い。全く分からない。
それともTADAが福井越前の海岸の瑪瑙を乱獲したように、Eもまた御前崎海岸の渋い石を乱獲してしまったのだろうか。
瑪瑙は分かりやすく乱獲の対象になるが、ここの石はそうとも思えない。謎だ。

Eの石は一番前に目にしているため、長く対話しているうちに自分の中で特別な存在となったのだろうか。他の石と同等に見ることができなくなっていることは確かだ。

不思議なことに、石は拾ってきたばかりのものより、一度家に持ち帰り洗い、何週間〜何ヶ月か経つと味わい深く思えることがある。これは石の表面が物理的になじんでいるのか、自分の心が石を味わい深く感じるようにだんだん変化しているのか。それも分からない。何やら深い。

日が暮れてきた。帰ろう。

サーファーの海なんですね。

自然はいい。


海で拾った石|静岡県御前崎海岸

改めて、拾った石はこんな感じ。

寄りのカット。

なんだかんだ言って悪くはない。
持ち帰って日が経つと、意外といい味出してきた石がいくつかあるので紹介しようと思う。

水墨が滲んだような石。

南瓜のような石。

マッコウクジラのような石。

なんだかよく分からないけれど、渋い。
結果、そこそこいい石が拾えた。ような気がする。

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次回、思い出その三十は、川で奇跡は起きるのか。
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