石川の海で石拾い、うねうね壺石 後編 |思い出その百二十|

石拾いの旅|石川県の海岸

2022年11月16日。
前回の続き。
急に海。
ANDOはがんばった。しかし石はない。ここは千里浜なぎさドライブウェイ。観光スポットだ。
石はなくとも海にうれしくなって車を降りる。さらに奇跡的に石はないかと波打ち際をどんどん攻めていたら、足をやられた。不覚。石拾いのためのゴアテックスブーツの上部から海水と砂が侵入。石拾い前に私の足はジャリベチョになった。

どんどん北上し、目当ての海岸に向かう。なんだか曇っているのと、残された時間が少ないことで私は内心どきどきしていた。ただ、全て自分のせいであることもわかっていた。
散々悪口を書いてしまったが、ANDOは実はすべて計画済みだった。程よく観光し、石もある博物館で私の石の知識を深め、そして石拾いに行くというゴールデンプランを用意してくれていたのだ。世の中の企業よ、なぜ彼を追放する。少々水が消えてもいいじゃないか。

いい眺め、、だがなんとなく日が落ち始めている気がするのは気のせいか、ぜんぜん気のせいじゃない気がする。車をどんどん走らせ、何とか一つ目の海岸に近づいてきた。

海。ついた。

石、あり。
ああ、石神様。ANDO様。ありがとう。この瞬間が最高の喜びです。

ざざざんざん。

若干曇っているので分かりづらいが、水質はいい気がする。綺麗な海。

さっそく石を拾う。
ころころころ〜。

ぱっと見は大体グレーの石。だが不思議と駐車場感がない。駐車場海岸についての説明はどこかの日記で。
なぜだ、なぜだろう。不思議なオーラを海岸から感じる。

寄りのカット。色味はグレーが多いのだが、ちらほらオレンジの石が混じっている。オレンジの石は、瑪瑙以外では見たことがない。密度も高めで硬そうだ。つまり石の質は申し分ない。

さらに寄りのカット。グレーとオレンジのほかに、マットで白っぽい石も含まれている。白にグレーが入り混じり、不思議な模様を作り出している。面白い。とても興味深い石たちだ。こんな海岸、福井でも新潟でも見たことがない。静岡にもない。青森の錦石は模様も質も別格なのだが、方向性は全く違うがここの海岸も唯一無二な感じが漂う。

実はこの海岸、前々回の日記で紹介した石好きださんから(うねる石、美しい海、三年ぶりの福井で石拾い |思い出その百十九|)教えてもらった石スポットだ。ANDOと石川に旅行に行くと決めた時、石好きださんに相談したらいくつも石スポットをいただいた。GoogleMAPにピン立てして細かな説明までいただいた。宝の地図や〜。そして事前にANDOに共有しており可能な限り旅の道のりに組み込まれている。

写真では全く伝わらないが、ロケーションも青森、島根、福井に次いでとてもいい。隠れた石の聖地に訪れた。そんな感覚がある。
石好きださんは渋めの石を好んで拾う傾向がある。サラブレッドKと石の気が合いそうだ。何だ石の気って。

どんどん拾う。ころころころ〜。
そういえば、ANDOは何をしているのだろうか。石を拾っているだろうか。集中しすぎて忘れていた。
ここで嫌な思い出がよぎった。石を冒涜する者、石の敵、石にとっての悪、マシューである。(同級生と石拾い、静岡県の川 |思い出その十九|)
一緒に石拾いに行った時、私が集中して拾っている最中、マシューは石を拾っては投げ拾っては投げを繰り返したあげく、私の拾った石の何がいいのかさっぱりわからない、といった眼差しで私の石を見てくるのだ。
そんなことで私の石の心はぶれないのだが、そして彼も特に石を否定しているわけではないのだが、何かひしひしと伝わってくる石への軽視。それが石拾いのゾーン状態への妨げになるのだ。ただでさえ石ゾーンに入るのは難しいというのに。おそらく石好きださんや麻烏さんは石の海岸に降り立った瞬間、雑念が消え石ゾーンに入るに違いない。絶対そうだ。

ANDO、どうなんだ。頼むからマシューのような冷たい視線だけは、石と私に向けないでくれ。と思ってANDOを見てみると、やれやれといった感じで一応拾うポーズだけはとっているようだ。マシューよりは前向きな姿勢に安心した。だがすぐ投げ捨てるのではないかと心配もした。
そうなる前にANDOに近づき、拾った石を見せてもらうことにした。
あれ、なかなかいいじゃないか。
この海岸の石の平均値が高いのはもちろんだが、結構面白い石を拾っている。ANDOは陽気で豪快な男。石にもその性格が現れているのかもしれない。

それにしても本日一箇所目の海岸にして、日が暮れそうだ。このあといくつもの海岸が待っているというのに。ただ悩ましい。この海岸は想像以上に素晴らしい。この後の海岸の石が、それを超えるとは限らない。この葛藤は初めての地での石拾い、複数の海岸を予定しているときに常に付き纏ってくる。悩ましい、実に悩ましい。
いや、後少し拾ったらここは終わりにしよう。悩みながらそう決めた。

拾った石は、こんな感じ。早速十二石として並べてみた。
以前は石単体で選定していたが、最近は十二石として選定することが増えた。石は複数並べたときに周りとの調和で突然輝き出すことがあるからだ。その趣深さ、並び、場としての石の強さに期待し並べ選定する。いまや十二石は石並べでありながら、石選びの手法にもなった。
この日記がどんどん訳のわからない世界に突入しているのは自覚しているがもう止まらない。最終章、行くところまで行く。

それにしても素晴らしい。素晴らしすぎる。石川の石。
左上から右下に向かって並ぶ三つの黒い石。これは珪化木だ。しかも、青森や福井で拾った珪化木よりもさらに黒い。漆黒。美しい。この辺りは珪化木が多いと聞いていたが、ここまで多いとは思わなかった。

もうひと並べ、十二石。オレンジとライトグレー、白のもやもやをメインにまとめてみた。このタイプの石、他の海岸では一度も見たことがない。
しばらく石を眺めていると、この石を見てくれ、とANDOがやってきた。

どん。オニオンスライスのような石。でかい。比較がない写真では伝わりづらいのだが、かなり大きい石だ。どうやらANDOには大きい石を拾う傾向がある。私はここ最近拾う石のサイズが小さくなっており、ここまで大きな石は無視している。豪快なANDO。もう一つ石を見せてきた。

壺。
いや、石だ。なんだこの不思議な形状、模様は。そしてまたしても、でかい。

模様が、うねうねうねうね。

裏も、ぼやぼや、うねうね。
するとANDOが石を持ち、おもむろに動き出した。

がちゃこん。
がちゃこん?

がちゃこん。
石が堤防の穴にすっぽりとはまっている。異常なほどにぴったりだANDO、底が知れない石のセンスと遊び心だ。

がちゃこん。どこかで秘密の扉が開いた音がした。かもしれない。石の伝説。
ANDOの石拾いは、もしかしたら、私の忘れかけていた石の初心、遊び心を呼び覚ますきっかけになるのかもしれない。

おまけ。追加で拾った石二つ。左はまっすぐな層状になっている。右は層にうねりがある。福井にも層状の石はいくつもあるが、また違った印象。

これにてこの海岸での石拾いは終わり。


海で拾った石|石川県の海岸

改めて撮影した石。さらに選定された十二石。美しい。石川の石。

層の石。

なめくじのよう。

バケットハットのよう。

うねりの層状。

漆黒の珪化木。雲のようなシルエット。

恐竜の歯のよう。

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チャリズムANDOとの石拾いはまだまだまだまだ続くよ。


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