石と海 石の旅と、海の思い出。
気がついたら石拾いが趣味になっていた。
僕はデザイン事務所で働いている。
石拾いのきっかけはデザイナーによって持ち込まれた石たち。
休日、故郷の海で息子と拾った石らしい。
なかなかいいじゃないか、と眺めているのも束の間。
そうだ、僕もこどもの頃から石がずっと好きなんだ。
自分ならもっといい石を拾うことができると、
対抗心が沸々と湧いてきた。
なんだなんだこの気持ちは。
今週末どこに石を拾いにいこうか。
恐ろしく腰の重い僕が、
探石に至るまでの速度が尋常じゃなかった。
子供の頃に一度は拾ったことのある石。
大人になると、ほとんどの人が石を拾わない。
そもそも石に興味がない。
興味がないどころか、物として認識されていない。
砂やコンクリートなどと同じく地面の一部で、
石は存在していないのだ。
だがあえてこの日記を始めよう。
なぜなら石は美しい。
そして一度気づいてしまうと後戻りはできない。
不思議でどこまでも奥深く
それでいて水や空気のように当たり前にある、
石の虜になってしまうのだ。