常滑で香炉を作ろうと思ったら気味の悪い石が生まれた |石と人|

2025年5月3日。
愛知県、常滑にいる。

石の弟子、と言いたいところだが、まったく興味を示さないデザイナーが二人。TEKITOUとPANである。
TEIKITOUはゆるゆるした絵を描き、餃子や肉まんを編み始めている。
サンポッチと潜入した石のお茶会でも紹介した。
→石と人/とある石のお茶会にて〜石拾いと石菓子拾い〜

PANはパンが好きな人だ。

20代に何度か常滑に訪れていたが、最近はほとんど石拾いのために海岸しか行っていない。
ここには焼き物の散歩道なるものがあり、いくつか陶芸体験ができる施設もある。

軽くランチを済ませ、陶芸体験にて、石のような作品を作りたいと思っている。
ろくろでやるか、手びねりでやるか、選べるのだが、石っぽさという観点では、手びねりかと思い、手びねりにした。

なぜ急に陶芸体験をすることになったのか。
最近、SNSを眺めていると、石をモチーフとした作品の投稿が多くなってきている気がした。絵画、オブジェ、アクセサリーなどさまざまだが、その中でも焼き物、食器などが多い。
私は数年前から知り合いや気になった作家さんの器を集めていて、どうせ集めるなら、石と親和性の高いものがいいなと思っていた。

そうして石モチーフの作品を見ているうちに、自分でも作りたいという思いが強くなり、ただ一体何から、どう始めればいいかもわからず、周りやAIに聞けばいいのだが、まだちょっと趣味としてやってみたい程度で、ひとまず土を触ってみたい衝動に駆られた。

というか常滑に行くなら焼き物を買うか陶芸体験くらいしかやることがないのだが。

手びねり手びねり!ランチを済ませ、TEKITOUとPANとで陶芸の施設に向かう。

着いた。
体験の先生が待ち構えていた。私たちの他にお客さんは1-2組ほどで、ほとんどこちらにつきっきりで教えてくれた。
まず、どんな作品にするか、スケッチするところから始まる。そのスケッチを元に、先生が適した制作手順を教えてくれるのだ。
マグカップ・フラワーベース、お皿、作るもの・形状によって、手順が変わるらしい。昔一度やったことがあるが、かなり前でほぼ初めての手びねりに要領がつかめない。
ただ、頻繁ではないが、石粉粘土などで夢の石(空想上の物語付きの石)なるものを作っているので、粘土の扱いは多少わかっている。
粘土は乾燥との戦いだと思っていて、乾燥してくるとうまく形が作れなくなる。ただ、水を塗りすぎて、べちゃべちゃにすると、これまたよろしくない。水分量が難しいのだ。かさかさとべちょべちょの間を目指しつつ、美しいフォルムを保ったまま、細部のディテールをブラッシュアップしていく。難しい。私は結構不器用なのかもしれない。

小学生のころ、なまけものの代表でのび太くんみたいな少年だったが、図画工作の成績だけは良かった。絵も小学生までは自信があった。独創性もそれなりにあってか、先生によく褒められた。
ただ、中学、高校と上がるにつれて、図画工作は美術と呼ばれる世界に移行する。美術部なるものも設置され、デッサン力、構図、技巧など、私よりも数段上の手練れが現れ始める。
加えて私は細かい作業が苦手だった。集中力を持続力があまりない。小学生のころは独創性と想像力でカバーしていたのだが、なまけもので絵の鍛錬をすっ飛ばしていたつけがまわってきた。
それでも、それっぽい絵をなんとか描いていた。その後は特に深く考えず、中学のころからハマり出した音楽鑑賞、音楽関連のアートワークとの親和性があるなど多少の勘違いあったりなかったりして、わけもわからずグラフィックデザインの世界に足を踏み入れた。話が逸れに逸れているので、この続きはまたいつの日か。

とりあえず言いたかったことは、創作意欲は結構ある方だが、手先が器用ではない、ということである。

こんなことをもやもやと考えているうちに、私の作品は完成した。

え。
なんやこれ。

最近お香をよく焚いていて、石のような香炉を作ろうと思っていたのだが、謎のオブジェクトが誕生していた。

なんだか気味が悪い。呪物のようなこの模様はなんだ。
石の自然な流れる模様を表現しようと思ったのだが、結果生まれたのは執拗に練り込まれた人為の塊ではないか。
私の闇から生まれ、転がりやってきた念の石香炉。そういうストーリーにして納得することにした。

むむむ。

TEKITOU なんですかそれ。
PAN あやしげ。

TEKITOUは花のデザインがあしらわれた華やかなスラワーベース、PANはクジラの置物を作っていた。写真があったはずなのだが、この石の呪いでどこかへいってしまった。
おわり。

あとは散歩でもして帰りますか。

チュンチュンチュン。

チュチュン。

チュン。

常滑、この十数年の間に、新しい店がずいぶん増えていた。そらそうか。
鳥。

奥に猫。

猫。

田舎の道端が好きすぎて、つい写真を撮ってしまう。

庭に生える木、木の実。撮ってしまう。金柑。

幼少期から田舎が好きで、都会への憧れは皆無だった。

今はと言うと、都会と田舎の狭間で、どこに住もうか考え中。
だが、もう、石の聖地青森に住みたい。しかし雪が大変そう。
青森に住むとはどういうことか、青森県民に教えていただきたい。

実。

煙突。

道端の花も撮ってしまう。

このオブジェはなんだ。

気になりすぎる。
帰ろう。

次の日。

部屋に光がさして、

昨日の思い出を見る。

数日後。

ころころころ〜。

気味の悪い、いや、不思議な石の謎香炉が到着。

どうやって使うのかって、

お椀型になっており、裏返して使う。なんとこちらが裏である。

つやつやの釉薬。

いいかもしれない。

ぼやぼや。

またどこかの海岸で。ごきげんよう。

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