石と人/とある石のお茶会にて〜石拾いと石菓子拾い〜

AKIRAと遭遇

ある日。
休日なのに出社することになった。

そんなことあるんか。
ある。

会社への階段前。
防犯用のチェーンを外して上がっていく。
ドア前のシャッターがしまっていない。
ドアの鍵はかかっていて、会社の電気もついていないのに、
シャッターだけが閉まっていない。

昨日夜遅くまで働いていた社員が疲れ果て、閉め忘れたのだろうか。
なんだか嫌な予感がする。
ドアの鍵を開け、中に入り空調をつけて電気をつける。
するとトイレあたりから、

ガタゴトガタン ガタガタガタゴン

人が暴れているようなおとがする。
あわてている様子の。

おそるおそるオフィスの中心へ、そしてトイレのある通路へ向かう。
するとひょっこり通路の入口から
鬼の子のように顔が真っ赤になった社員、アキラがいた。

泥酔だ。アキラは、私の直属の部下だ。

「来るならいってくださいよ」
「怖かったです」

しらんがな。
こっちのセリフや。

もう昼の12時だが、さっきまで呑んでいたらしい。どういうことや。

カタカタカタカタ

しばらく仕事をしていると、

「グミ食べますか?」

いらん。

「グミ食べますか?」

雲グミ。袋が薄汚れている。アキラが何かを混入しているかもしれない。怖くてすぐには食べられないのでそっとカバンにしまった。この日記を書いている今も食べられずにいる。

あの日夢見た雲グミ

「そういえば石の人さん宛に何か届いてましたよ」

そうそう。それそれ。

ダンボールを開けると私に宛てた石の小包。
おしゃれ包装だ。

なにやら木槌とおしゃれな小箱。

もう一つ小箱。

石が散らばる可愛らしい包みの箱。

こちら、料理家の小桧山さん(山フーズ https://yamafoods.jp/)に作っていただいた、石菓子である。ありがとう。

なぜ石菓子なのかというと。

石茶会へ

今日は知り合いから謎のお茶会に誘われていたのだ。
手土産に石を渡すわけにもいかず、お菓子でもと思った時に、小桧山さんを思い出した。
石菓子を作っていただけるかとお願いしたところ、快諾いただいた。うれしい。

それにしてもこの茶会、先日の仕事の打ち上げも兼ねていて、普通の茶会だと認識していたのだが、石の人として参加してほしいとのこと。はて。
人数は三、四人かと思いきや、十人ほど。そして全員石好きだと。なぜ。
なぜそんなに集まった。石好きだけが。この短期間で。インスタストーリーで軽く募っただけで。
石についての質問もするので録音させて欲しいとのことだった。

これは石トラップだ。

私は基本、トークショーや、テレビ・ラジオ出演はお断りしている。
顔・姿出しNGの声出しNGだからだ。
そして一番の理由が、調子に乗って有る事無い事話してしまうからだ。
軽い茶会であっても録音と聞くと怯えてしまう。

一部が切り取られSNSで拡散され、ひっそりと暮らしたい我々一般人でも予期せぬバズが起こるこの時代。
石の罪人、石悪になりかねない。

その時は言ってやりたい。これは私がやったのではない。私と契約し唆す石の悪魔がそうするように仕向けたのだと。かつての石悪マシューのように。

冗談はさておき、お茶会場であるカフェに着いた。さっそく石菓子をお渡しした。

中を早く見たいと主催の方がおっしゃっているが、またれい。
まだ半分も人が集まっていないので、しばしご歓談。

ちなみに私の隣にはサンポッチという後輩社員がいる。一人では心許ないのできてもらった。彼女にとっては衝撃だっただろう。打ち上げ的茶会と思い来てみたら、私も知らない石の組織の集会だった。
すまないサンポッチ。

石の組織の情報交換はとまらない。
石の見せ合いである。

ある女性の持ち込んだ石。それは黒い斑のある石だった。私はそれがどこの海岸の石か一目で分かった。私も似た石を持っているからだ。

新潟のいしでしょう。

そうです!さすがですね。

しまった。わたしは、わたしこそが、この石の組織の黒幕であることに気づいた。

ごましお石。

なんかざらざらな石。

優しい石。これも新潟か富山でしょう。

そろそろどうやら黒幕の石を見せる時が来た。
最後まで待つあたりが小賢しい。そもそもトラップとか言いながら石持ってきとるんかい。
石の入った石袋へおもむろに手を伸ばした。

石、と思ったらぎょうざがあらわれた。
こちらは、ゆるゆるてき党のてきとうちゃんさんが作ったぎょうざ。ぎょうざクッション。石袋の中で、石同士があたって傷つかないように、緩衝材として使用している。
ただ、まだひとつしかないため、圧倒的に数が不足している。供給が間に合っていない。てきとうちゃんさんは、石神様に祝福され石聖を目指すべく石の人に師事した石の子である。

日々仕事をさぼりながら編み物作品を量産しているそうだが、別の活動として、てきとうちゃんさんが描いた「てきとうくま」というキャラクターに目をつけた私は、「いしてきとうくま」の量産およびLINEスタンプ、シール展開をなるはやで依頼した。
数ヶ月経ち、しびれをきらし進捗を確認したところ、てきとうなので全く進んでいないそうだ。早くも破門だ。

にくまんの口。

にくまんの寄り。

にくまんちょっと引き。

にくまん全体。
このにくまん型石袋にはとても感謝している。本当は量産化したいのだが、編みたい時に編む主義らしい。
また編みの師匠がいるらしく、まだ修行中なのだとか。
もう少し長い目で、てきとうちゃんさんの成長を見守るとしよう。

てきとうちゃんさんへの依頼などは石の子の師である石の人が石神様に伝言することによって成立するため、(石のほうれんそう)一度石の人公式サイトから問い合わせてみてほしい。https://ishinohito.com/message/
時の流れが石のような石対応でも許してほしい。

石菓子と石

まだ石の方々が全員揃っていないそうだが、待ちきれず石菓子が解放された。

素晴らしい、、
石の再現度がすごい。そしてなんだか新潟か富山の石のよう。

ころころころ〜。

ころ〜。

ろ〜。

かなりいい感じだ。
周りはビスケット的生地でできていて、(たしかそう、、)中にいろいろなものがはいっているらしい。
あまい石としょっぱい石があるらしい。

隣に置かれた石にそっくりだ。

ちょまてよ。
この石めちゃくちゃいい。主催の方の石。
しっとりとした表面に波紋のようなベージュの展開。ほしい。
上等な石は石神様に奉納すべきでは。私が一度お預かりしようか。

水石風なペーパーウェイト?
今、おしゃれなカフェや雑貨屋・ギャラリーでは石と遭遇する確率が高まっているらしい。という妄想。台座が革でできている。とてもいい。

では、石菓子を実食。

石の組織のメンバーに、石の英才教育を受けた男の子が一人。石まみれの話にも動じず、むしろ溶け込んでいた。石のニュータイプが現れ始めている。

石菓子。割って。割って。

これなに。

ぱくり。

おいしい! 石のニュータイプも満足のお味。

次は弊社のサンポッチが実食。
ちなみにサンポッチは全く石に興味がない。私が方々で石の話をしている時、彼女の目は死んでいる。

かんかんかん

かん

サンポッチ、その石への冷たい反応から、いつか我々を脅かす石悪になるのではないかと危惧している。

中はピーナッツ。

私はこのしましまをいただくとしよう。

割った。

これもピーナッツ。

くるみやチョコがぎっしり詰まっている。
石菓子は家で石拾いができて、食べられる最高のお菓子なのだ。

ごましお石を見せつけてくる女性が一人。
素晴らしい親子石だ。

石菓子を楽しんで、しばらくすると水の用意ができているという。
石をつけるための水。どういうことや。

石、入水の儀。

一同拍手。

これはもう新手の石宗教である。

カフェの中心で。

石を水に浸す。

静かに覗き込む。

ああ

まずい、石世界に浸っていた。
サンポッチ、私が正気のうちに、お手洗いに行くふりして裏口から逃げなさい。
目で合図した。

サンポッチが席を外している間、となりの男性が私に石を見せつけてきた。

翡翠です。

翡翠!

自らヒスイ海岸で拾ったものだという。購入ではなく採取した方に、初めて出会った。

翡翠は波打ち際か、もっと奥で探すんです。

波打ち際で、もっと奥で、、だと、、

私の頭の中に鮮明に浮かんだ人物像があった。
胴付長靴に、長い棒、その先にくくりつけるは鍋をする時の穴あきおたま、、

そうです。私がそれです。

あなたでしたか。

何度か現地で見かけた石ハンター。わたしはハンターライセンスを持っていないので恐れ多くて声をかけられなかった。
まさかこの石組織に潜入していたとは。出会えて光栄です。

翡翠は見た目よりもずっと重い。

白っぽいものや灰色のものもあって素人目にはわからない。

いいものを見せてもらった。

サンポッチが無事脱出したのを確認した後、私も席を外した。
信じるか信じないかはあなたの石次第。
石の組織は確かにあった。
おそらく日本に数百存在するだろう。
みなさんからの情報をお待ちしている。

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